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  ギャラリー

ここでは、タロットの会など来られた方にはお見せしていた、タロットの原画・・・つまり鉛筆画と、完成したタロットカードの表情の比較をしてみます。制作の過程でどのように絵柄が決定していったか・・・という流れを感じていただけるのではないかなと思います。

 

私がタロットを作るときになぜ、こんなに表情にこだわったのか・・・ということですが、それは、カードを使う人たちに(もちろん私の含めてですが)、よりリアルにタロットの世界を感じて欲しかったからなんですね。所詮は絵の中の紙に描かれた世界と思われるかもしれませんが、絵だからこそ、表情だけでなく、服のしわや手や体の動きまで、できるかぎりリアルな人物像を描きたかったんです。そうすることで、こんな表情をしてるのは、この人がこんなことを考えてるからだろうとか、こんな身のこなしの人物はきっとこんな性格で・・・とか、そんなイメージがわ~っと膨らむようなタロットカードにしたかったんです。ある有名な漫画家の方も、空想の世界だからこそ、その描く世界を小道具にいたるまでよりリアルに描き込むことで、ほんとにあるかもしれないというリアリティが生まれるというようなことをおっしゃっていたんですが、私もそう思うんですよね。

そして、古い時代お金持ちの人のために作られた1点もののタロットカードはさぞ美しかったんだろうな~と想像したりします。現代の私としては、せっかくの高度な現代の印刷技術という武器があるわけですので、それを利用することで、大量生産ながらもできるかぎり美しい愛着のわくカードが作りたかったんですね。

 

 

 

さて、それでは、まず1枚目。

 

最初にふさわしい、「愚者」ですね。

左側の鉛筆画は、まさしくこのタロット作りの一番最初に描いた1枚です。

この時は鉛筆で描いたあと、うす~く色鉛筆で、こういう色にしようとだいたいの色指定もしていました。まわりの文字が見えないので何色だかはわかりませんけど・・・。

よ~く見ると、やっぱり微妙に表情が違ってますね。本番のペン入れの時には、なるべく最初の原画に近く描こうとはしてたんですが、手描きなのでまったく同じになるってこともなかなかなく、でも、何枚も描いてるうちに、「あっ、この表情だな!」ってなる瞬間があって、この顔に決定したんですよね。左のほうがかわいらしく、右のほうが、ちょっときりっとしてて、何か心に秘めた決心のようなものを感じます。いい表情になったと思ってます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、2枚目。

「愚者」と並んで、タロットといえば、これって感じの「手品師」ですね。

これも、やっぱり色鉛筆でうす~く色がついてます。

このカードはほとんど同じ表情に仕上がってるかなって気がします。でも、微妙に違いますよね。このカードもここまでくるのにやっぱり何枚も描き直し、ようやく「よしっ、これだ!」と気に入った1枚でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次は、こちらの「女教皇」。

このカードは、特に、きれいに仕上げたかった1枚です。

 ・・・というのは、他のマルセイユタロットでは、聖女は美しくなくていいの?って言いたくなるくらい、なんだか女らしさみたいなのが感じられないものが多く、好きになれなかったんですよね。(その中で、ピエール・マドニエ版は唯一、これはきれいだと思いましたが・・・。それが、デザインのベースをピエール・マドニエ版にした決め手でもありました。)でも、現実のシスターの方とかは清楚な美しさがあって素敵ですよね。中世のマリア様の肖像画などもやっぱりとても素敵だし・・・。なので、もっと美しい女教皇にするにはどうしたらいいか・・・と、これまた何度も何度も描き直しながら最終的にここに落ち着きました。

ですが、これも原画とカードとでは、少~し感じが違うのがわかるでしょうか?原画のときのほうがちょっと俗っぽいといったらいいのか、普通の女の子のような目線が感じられる雰囲気になっていたのですが、ペン入れのときには、やっぱりまったく同じ表情にはならず、最初に仕上げたものはもっと冷たい感じの表情でした。(それもいちおう、手元に残ってはいますが、お蔵入りですね^^)・・・が、どうしても納得できず、けっきょく20枚以上描いて、ようやく「これだなっ!」という1枚が描け、あとはもう、どうかほかの線とか失敗しませんように・・・と祈りながら仕上げました。これはもう、ほんとに微妙な違いではありますが、完成品のほうが、美しいというかちょっとかわいい中にも、穏やかな感じが出たんじゃないかな~と思っています。ほんとにちょっとした顔の傾き具合とか目の違いなんですけどね・・・。

 

 

 

 

さて、次はまた女性のカードで、「女帝」です。

このカードは鉛筆画の段階で、かなり気に入ってました。なので、ペン入れのときは、それを忠実に再現するように頑張り、女教皇よりはずいぶんと早く完成しました。

美しく、豊かな感じの中にも、女王としてのきりっとした表情が出せるように頑張ったつもりです。

それと、もう1点気を配ったのは、女帝の手元の盾に描かれている鷲です。これは、もっと険しい大人の鷲が描かれてるものが多いのですが、ピエール・マドニエ版では、かわいらしいひな鳥のような表情で描かれているんです。私のカードでも、そのほうがいいなと思い、目も丸く、翼もあまり育ってないひよっこのイメージで仕上げました。

このカードは、女教皇や剣の女王と並び、私のお気に入りのひとつです。占いで使うときも、よくこのカードは登場するんですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次は、こちら。

「皇帝」ですね。このカードは男性なので、それほど表情に大きな変更などはなく、すんなり進んだのですが、服の模様なんかが細かくて大変でした。ほとんど完成って思ったのに、ちょっと線が曲がっちゃったり・・・というので、何枚か描き直し、OKとなりました。

今回のタロットは色は5色が基本なのですが、この皇帝の盾の鷲のところは、緑色が薄く塗り重ねてあって黄緑色のグラデーションになってます。女帝の鷲と違って大人の鷲って感じですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次は、「教皇」です。

フランス語から日本語にする時にどの訳語にするかは悩むところで、「法王」と記載されてるカードもありますが、私はこちらの呼び名にしました。

このカードはめずらしく、描き直しなしで1発でOKとなりました。手前の人物がなんかだまし絵のような感じでもあり、ちょっと不思議な絵になってますが、なるべく古いマルセイユタロットに忠実に描くようにして仕上げてあります。左側の棒に帽子がくっついたようなものは、愚者が自分の身代りにひょっこり姿を現したものだという説もあり、見れば見るほど不思議な絵ですよね。また、一番奥の教会の柱の上が途切れているのもマルセイユ版特有の表現のようです。

 

 

 

 

 

 

次は、「恋人」ですね。

これまでのカードは登場人物が少なかったのですが、ここへきて天使も入れると4人。急に大変なことになりました。まぁ、このひとつ前の教皇のカードにも信者のような人たちが後ろ姿で描かれてましたが、それは表情とかは描かなくていいのでまだ良かったんですよね。ですので、いよいよ本格的に大変なカードにさしかかったというわけです。しかもカードサイズが8センチ×4,3センチと小さいので、ひとりひとりの大きさもすごく小さいんです。なので、このカードでは顔の部分などはこれまで使ってたGペン以外に丸ペンも使いました。そうじゃないと、目とかは線がつぶれてしまってわけのわからない点みたいなかたまりになっちゃいますからね・・・。

表情で特に苦心したのは、天使です。左の鉛筆画と右の完成したものとでは、またちょっと感じが違いますね。マルセイユ版では、大きく分けて、こうして顔が見えてるものと目隠しをしてるものの2種類があるんですが、この天使はやっぱり、

「これだ!」っていう納得できる表情になるまでこだわりたかったんです。この、なんていうか無表情というのか、無心なといったらいいのか、作った表情じゃないちっちゃい子が見せる表情と共通するするような部分がありますよね。その感じが出るまで、何回も何回も描き直しました。その点が完成したほうの天使のほうが、より私のイメージにぴったりになったと思っています。

そして、右側の花嫁。この人もこだわりたかった人物のひとりで。ピエール・マドニエ版などの古典的なカードでは、男性が描いたからなのか、ちょっと表情が硬く怖い感じのするものもあり、もっと若くてかわいい感じにしたかったんです。そして、かわいい中にもしんの強さみたいなのを込めたいなぁと。これも、左の鉛筆画よりさらに柔らかい表情になったんじゃないかと思ってます。

真ん中の男性はまあ普通にこだわりなく、結婚の決意をにじませたキリッとした表情でということで、ささっと描けたんですが、もうひとり左の女性もいくつか気をつけたポイントがありました。この人物は古い結婚の儀式をとりおこなっていた集落の女魔法使いだという説があり、その感じが出るようにと頑張りました。私が見た時にはこの人物は弥勒菩薩のように神々しい光を放ってたんですよね・・・。なので、ちょっと顎のあたりに年齢を感じさせ、また若いふたりを優しく、でも厳しく見守っている、そんな心遣いが出せたらいいなと思ってこんな仕上がりになりました。

 

 

 

 

 

次は、「戦車」。

このカードは、私のタロットの中で唯一・・・というか、もう1人悪魔のカードの左の人物もなので、正確にはたった2人のしかめっ面の表情をしている人のひとりです。ピエール・マドニエ版以外のデッキでは、晴れ晴れとした表情のものが多く、カードの意味合いもこの世での成功や栄光を意味してるとするものが多いんですが、私はこのひそめた眉こそがポイントだなと思って描いたんですね。

それと、馬たちの顔もまた、好奇心や意欲が感じられてかわいいでしょ。この馬というのは、欲望やスピード、競争なんかを表す象徴だとされていて、このカードでは2匹の馬が別々の方向へ進もうとしてるようにも見えます。戦車の若者は手綱を持っていなくて、このコントロールできない馬たちに振り回されているからこそのこの表情かな・・・と。でも、もし、この馬たちと心を通わせてコントロールすることが出来たとしたら・・・。この表情はもっと生き生きした晴れやかなものになるんじゃないかなぁと、そこに戦車の秘密があるのでは???と思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

次は、「正義」ですね。

このカードは描かれているのは女性なんですが、たいていのマルセイユ版では、他のカードに比べるとあまり美しいっていう感じではないんですね。・・・ですが、裁判の女神というくらいですから、「やっぱり絶対美しい人だったに違いないっ!」と、とびっきり美しい女神のひとりにしたいな~と思ってました。

左の鉛筆画はかなり薄いので画像では見づらいんですが、こちらのほうは「そうそう、こんな感じ」と、とても気に入った1枚です。ですが、その後ペン入れをすると、これがまったく同じには描けなくて、またまた何枚も何枚も描き直し・・・(^-^;。「う~ん、これじゃ、目がどぎつすぎ・・・」とか、「これじゃ、優しすぎて正義のイメージじゃない・・・」と、さんざん描いた末、この1枚に決定したのが右のカードの絵です。最初に見た時から、バルーンスカートみたいな不思議な服だな・・・とか、色の塗り分けも細かくて謎っぽい絵だなと思ってましたが、赤いスカートのお腹の部分にはトリックアートみたいに神様の手みたいな大きな手があるのがわかりますか?それに、かぶってる冠の模様も独特で、見れば見るほど興味深いカードです。

 

 

 

 

 

 

 

 

次は「隠者」ですね。

このカードについては、歩いてるのか立ち止まってるのか、足元が見えないのでわからない・・・などという話もありますが、私が見た隠者は、すごい嵐の中、風に耐えてゆさゆさ揺れてはいるものの、じっと立ってましたよ(^^)。目の感じは、遠くを見つめているというよりじっと何かを見ている感じ・・・。なんか心の奥まで見透かされそうな・・・といったらいいでしょうか。これは、左の鉛筆画よりずっとイメージにぴったりのものが描け、けっこうすんなりと出来た1枚となりました。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次は、「運命の輪」ですね。

こちらのカードは、種類の違うカードでも同じように輪が描かれているものが多く、解釈に関してもそれほど差がない感じはしますが・・・。

表情という点では、左の生き物はちょっとだらっとした感じなのに対して、右のほうはなんだかきばってる感じなのが印象的ですね。

そして、この輪は海のような水の上にいかだみたいに浮かんでるのも、不思議な雰囲気をかもしだしています。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、「力」。

このカードは私の好きなカードのひとつで、思い入れもあり表情に関しても何度も納得がいくまで描き直しました。左の鉛筆画のほうは、どこか憂いを秘めたような感じですが、右のカードのほうは、もう少しキリッとした表情に仕上がり、

「うん、これだな!」という感じで決定しました。

ほかのカードはライオンの足もとがてきとうに描かれているものが多くて、なんだかね・・・という感じだったのですが、このカードのベースになっているピエール・マドニエ版では、ちゃんと猫っぽい足に描かれていて、「やっぱ、こうでなくちゃね!」と、さすがきちんと出来てると感心したものです。それと、この女性の肩のあたりの描きかたも自然で、服のしわのラインも体の動きが感じられるし・・・。ほかのマルセイユ版と比較していただくと、「ほんとだ!全然違う!」と納得していただけると思いますよ~。そういうことの積み重ねが、デザインのベースにピエール・マドニエ版を選んだ理由になってるんですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次は「吊るし人」です。

このカードはマルセイユ版では、けっこう顔がいまひとつ魅力的でなく、もっと素敵なカードにしたいと思ってた1枚でした。ですが、実際描いてみると、逆さの状態ではなかなかバランスをとるのが難しく、結局くるっと逆さまにして(つまり片足立ちの状態でってことですね)人物の顔や体を描いた・・・という、いわくつきのカードとなりました。

実は、このカードの数字も、現代のものは「ⅩⅡ」と普通の表記になってますが、ピエール・マドニエ版をはじめとする古いマルセイユ版では、「ⅩⅡ」が「ⅡⅩ」と表記されてるものが多いんですよね。当時の人もそれが気になったのか、部屋の壁にピンで飾ったらしきピンの穴の跡が、このカードの下側、つまり頭の上のほうに開いてるものが残っていたりしてるそうですが・・・(^^)。私はなんとなく、見えない世界からの知恵を持ってくるには、逆転の発想というか、いつもと違う視点でものごとを見つめ、その後それをこの世界に持ってくるってことで逆さまなのかな・・・なんて気もしています。この人の表情も苦しそうな感じではなく、静かにじっと見つめてる、ちょっとすがすがしい感じのするような雰囲気にしたいな・・・と、かなりこだわって描きました。左の鉛筆画も気に入ってたんですが、完成したカードのほうはさらに素敵な表情になったなと、とても気に入っています。自分のことを占うと、このカードが出ることも多いんですよね。

 

 

 

 

 

そして、次は「死神」。フランス語ではタイトル名がないんですが、名無しだと扱いにくいので、日本では「死神」の名前がついてるのが一般的ってことで、私も自分の解説書ではこの名前でよんでいます。

このカードは、あまり好かれないカードのひとつですが、現状をがらっと変えるとか、今までの成果を刈り取るっていう意味合いが感じられるので、私はわりと好きなカードなんですよね。地面の色が真っ黒のカードも多いんですが、いくつかのカードは茶色や黄金色に描かれていて、私はそっちのほうがぴったりくる感じがしてこんなふうに仕上げました。また、骸骨もあんまり怖い感じじゃないでしょ。

この骸骨はヘルメットだという説もあり、見れば見るほど興味深く、愛着がわいてきませんか???タロットカードで、いい意味のカード、悪い意味のカードという分類がされることもありますが、私はそのときの状況によって印象は変わってきていいと思ってるんですよね。このカードも好きな方が増えるといいな・・・なんて思ってます。

 

 

 

 

  

次は「節制」です。箱のデザインにも使ったので、見かける機会の多いカードだと思います。この節制の天使、独特の身のこなしで2つの壺から壺に水のようなものを移し替えてるのが印象的ですよね。しかも、壺のほうはぜんぜん見てないという・・・。ですが、他のマルセイユ版では、いまいち体の線が不自然で、特に肩や腕のあたりのラインをもっと自然な感じにしたいな~と、かなり手を加えたため、ずいぶん時間がかかりました。それと、腰のあたりのスカートの脇のものが「いったい何?」と、ずっと謎だったのが、ピエール・マドニエ版のおかげで「長い髪の毛の先がちらっと見えてたのか!」とわかったのもうれしかったですね。それらを含めて見ていただくと、他のマルセイユ版とは微妙に違うのがわかっていただけるんじゃないかと思います。さらに左の鉛筆画ではちょっとお姉さん的な感じだったのが、ペン入れの段階では、もうちょっと若い女の子っぽい感じにしたくなり、ずいぶん印象が変わったカードのひとつとなりました。この節制の天使は、「時節によってすべてのものを作るために元素を混合した賢い女神」の姿だとされているので、ものを作り出す勢いとか、好奇心というのが感じられるように描きたかったんです。そして、その女神の力がこのデッキ全体にもはたらいてる感じがして、かなり最初の時点で、このカードをデッキの顔にしたいなと、箱のデザインにすることは決めていたんです。そんなわけで、私の車のカギはこのカードのキーホルダーといつも一緒にカバンに入ってます(*^-^)。

 

 

 

 

 

 

 

そして、次は「悪魔」です。このカードは、左の鉛筆画と、カードの絵が、ほとんど同じ雰囲気に仕上がったと思います。特に、描き分けたかったのは、悪魔の右半身と左半身の違いですね。体のラインも微妙に違うのがわかるように描いたつもりです。それと、爪ですね。悪魔の右手と右足にしか爪はないんです。これも、ピエール・マドニエ版で見つけて、「やっぱり!」と思った点で、そこのところもきっちり描き分けて仕上げてあります。この画面の向かって左の人物がしかめっ面をしているのも面白く、「戦車」のとこでも書きましたが、デッキ全体を通して、この人と戦車の若者の2人だけが眉をひそめた顔になってるのも、なんだか興味深いです。死神と並んで、この悪魔のカードも悪い意味のカードとして扱われることが多いようですが、この悪魔の表情を見ていると、わざと怖い顔をして子供を「めっ!」と叱ってるお母さんのような雰囲気が感じられて、私はこれもまた好きなカードなんですよね。それに、このタロットを作ってた時期の大半が、私の今年のカードが悪魔の時期だった期間でもあるというのも、また縁のような気がしています。(今年のカードについての詳しくは、私の本「mamanmiyukiタロットの世界」に書いてありますので、よかったら見てみてください。)

 

 

 

 

 

次は、「塔」。

これも、フランス語のタイトルとはちょっと違ってて、直訳だと「神の家」となるんですが、日本人には「塔」のタイトルのほうが馴染みがあるので、こちらのほうを選びました。塔が稲妻で壊れてる・・・みたいな表現のされ方が多いカードですが、このカードではよくよく見ると塔は別に壊れてるわけではないんですよね。おっきな王冠は空から落ちてきたって見ることもできて、そうすると塔はどこも壊れてないんです。右上の稲妻も、なんだかパーティのクラッカーにも見え、しかもよ~く見ると、「戦車」の車輪の一部とそっくりです。また、塔の足元には大きな河らしき水が流れていて、どっちかといえばこっちが押し寄せるほうが危ない感じもします。2人の人物は塔から落ちてきたと解釈しているものもありますが、私はちょっと違うイメージで、手前の人は軽業が得意で、ポンポーンとバック転とか前転とかしてるように見えるんですよね。奥の人も自分からぬ~っと出て来てる感じだし・・・。そんなわけで、こういう表情に仕上げました。原画とカードはほとんど違いがなく、わりとすんなり描き上がりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次は、「星」です。これもまた、タイトルはフランス語では泉と書かれていますが、星という呼び名のほうが一般的なので、星ということにしました。このカードは、節制と同じように、市販されてるカードはいまいち体の線が不自然な気がして、どうしても自然な感じに描き直したいと思ってました。肩から右上のあたりのラインがどうしても気に入らなくて、ろくろっくびみたいだ・・・と気になって気になってしかたなかったんですよね・・・(^^)。そんなわけで、こちらの鉛筆画はそうとう描き直し、30回も40回も消しては描き・・・を繰り返したので、紙が鉛筆の粉でグレーになっちゃいました・・・。しかも、これでいいなと思って終わりにして、ほかのカードを描いてる途中でも、表情が「これだ!」という決め手がなくて、また「やっぱり、もうちょっと、こうかな?」とか、何度も描き直したので、結局は100回くらい描いたかもしれません。・・・なので、鉛筆画とカードとでも、また微妙に違う仕上がりですね。左の鉛筆画のほうが少し笑顔で元気な感じですが、右のカードのほうは、もう少し無表情な・・・というか無心に水を注いでる感じの表情になったんじゃないかなと、こっちのほうがぴったりくる感じで、「よし!これだ!」と満足のいく出来になったと思ってます。

 

 

 

 

 

次は「月」ですね。この、「月」のカードは古いマルセイユではほとんど同じような構図で描かれてるようですが、カードによっては、せっかくきれいなカードなのに真ん中下のざりがにがお皿にのったロブスターになってるものもあり、「それはないでしょ!」とがっかりしたっていうのがありました・・・。ちゃんとした象徴を描きつつ、美しいカードにしたいというのは、カード作りを始めようと決心したきっかけのひとつにもなったことなので、そこのところはかなりこだわりました。また、同じような姿の2匹の犬ですが、ピエール・マドニエ版をよく見ると、色だけでなく細かい違いがあるんですよね。右の犬のしっぽは垂れていて左の犬はしっぽの先が上を向いてるんですが、そのしっぽのまわりに漫画の動線のようにしっぽを振ってるのを表わすような線が描かれているんです。こっちの犬はしっぽを振ってますよ~って感じで(^^)。ですので、私のカードもそこはきっちり描きました。また、2つある建物のうちドアらしきものがあるのは左の建物だけだったり・・・。それと、この池のふちに赤と緑のものが描かれてますが、これはちらっとうつりこんでる女教皇の姿という説もあり、いろいろ興味深いカードとなっています。それと、一番上の月の表情ですが、鉛筆画の時点ではちょっときりっとした感じになってました。ですが、カードのほうはもう少し穏やかな、優しく見守るお母さんのような表情になり、「これだなっ!」と、満足のいく仕上がりになったと思ってます。

 

 

 

 

 

 

 

 

次は「太陽」です。このカードは鉛筆画とカードの絵にはほとんど差がないかなと思います。わりとすんなんり仕上がった1枚ですね。カードの種類によっては、2人の人物にしっぽが描かれているものもありますが、そこは「う~む」と思っていた点のひとつでした。ピエール・マドニエ版では、体の線のひとつとして描かれていただけのようで、「やっぱりそうか!」と、納得。そんなわけで、私のカードでもしっぽは描きませんでした。また、2人の体つきなども、女性っぽいのと男性っぽいのと微妙に描き分けてあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次は、「審判」のカード。このカードもまた、同じような構図のものが多いけどよくよく見るとカードによって微妙に違いがあるっていうカードですよね。特に大きく違うのはこの天使のまわりにひらひらしたものがあるのとないのと。このカードにはないんですが、以前に使ってたカモワンタロットではあったんですね。月や太陽のカードにあるしずくみたいなのとちょっと形の違うものが描かれてて。小アルカナの杖のエースに描かれてるものと似てます。・・・ですが、これは何だろうと気になってずっとそれについて考えながらカードを眺めていたら、ある日、画面がばっと変わって、そのひらひらの物体がぜ~んぶイモムシに変わっちゃったんですよ!で、私はイモムシが嫌いでいつも庭で見つけたら急いでつまんで空き地とかにぽいっと捨てちゃうんで、その時もとっさに「ひゃあ!急いで捨てなきゃ!」と思っちゃって・・・(^^)。いや~、ぞぞっとしましたよ。だって大量のイモムシですから。・・・で、その後、我に返ってから、「あ~これは、もしかしたら、このひらひらは必要ないってことなのかもしれないな・・・」と思って、いろんなカードを審判に限って探してみたところ、ニコラ・コンヴェル版をはじめとして、ないものもずいぶんあるってことがわかったんですね。それで、「そうだったのか!」とあれこれ調べるきっかけになって、その後ニコラ・コンヴェル版やピエール・マドニエ版へと使うカードが変わっていったというわけです。カードに登場する人物の表情は鉛筆画とカードではほとんど変わりないかなと思います。しいていえば、鉛筆画では正面向きだった天使が、より下向きの顔になったってことと、左側の女性が心配そうな顔からもうちょっと「しっかり頑張ってね」って感じの見送る母みたいな表情になったってとこでしょうか。小さいカードの中にたくさん人がいるので、1人1人が小さくて大変でしたが、なんとかイメージ通りの仕上がりになったと思ってます。

 

 

 

そして、いよいよ、大アルカナ最後のカード「世界」です。このカードも審判と同じように登場人物が多いので、1人1人の大きさがずいぶん小さく、「真ん中の女神が雑に描かれてて残念・・・」と常々思ってたカードです。なので、「女神はぜ~ったいきれいなカードにしたいっ!」と、かなりこだわりがあり、審判のカードを描いてるときからすでに、こんな顔の女神にしよう・・・とか、あれこれ頭の中に浮かんでいて、早く描きたくてうずうずしてたんですよね(^^)。私の中のイメージでは「女戦士」っていう感じ。美しくて、それでいてきりっとみんなを率いていくような・・・そんな女神を描きたいと思ってました。女神は左を向いてますが、私が見たときには女神はちらっと後ろを振り返り、「みんなちゃんとついてきてるかしら?」って気にしている感じでした。そして完成したのがこのカード。左の鉛筆画とも微妙に変わりましたが、いい表情になったと満足してます。完成してから気付いたんですが、この女神と星の女神はそっくりなんですよ。星のカードで女神はせっせ、せっせと水を注いでましたが、ここでは育ったたくさんの羽のある人たちに支えられて、まるでディズニーのパレードみたいに行列を率いてるような感じもします。いろんな意味で、大アルカナの最後にふさわしいカードだな~と思っています。

* 発売時期によっていくつかのカードは絵が変更されています *

2015年4月に発売したスタンダード版では、カードの絵が加筆修正されています。

おもなものは次のカードです。

2016年11月に発売したミニサイズの第2刷では、上記のカードに加えて、

さらに数枚のカードの絵が加筆修正されています。

おもなものは次のカードです。

​(裏の模様も少し変わっています)。

2019年4月に発売のスタンダードサイズの3刷りと、ミニサイズの第5刷とでは、

上記のカードに加えて、

さらに1枚のカードの絵が加筆修正されています。

新剣のⅩ.png

*2021年6月発売のスタンダードサイズ4刷りでは、
​    さらに次の2枚のカードが加筆修正されています。

最新隠者.png
最新コインの10.png

2017年12月に発売のミニサイズの3刷り・4刷りとスタンダードサイズの2刷りでは、

上記のカードに加えて、

さらに数枚のカードの絵が加筆修正されています。

​(裏の模様も変わっています)。

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